AI時代に必要なのは「信頼できるデータ基盤」。primeNumberが描くプロダクトの未来(DATA SUMMIT 2025講演レポート)

こんにちは、primeNumberです。

11月26日に開催した自社カンファレンス「primeNumberDATA SUMMIT 2025」に、取締役執行役員CIOの山本健太さんが登壇。「AIと共に進化するデータ基盤へ primeNumberが描くプロダクトの未来」と題し、2025年のハイライトと2026年に向けたロードマップが語られました。

CIOの山本さん

AI時代のデータ基盤、3つの壁を乗り越えるには──「PoCで止まらない」ための処方箋

山本さんはまず、今回のセッションの前提として「信頼できるAIを実現するには、信頼できるデータが不可欠」と提示。

さらにデータエンジニアリングを取り巻く環境の変化について「これまでデータエンジニアリングは一部の専門家が担う領域だったが、AIを使ったコーディングが一般的になったことで、データ利用者が急増している」と指摘。「一部の管理者だけがデータを扱う状況から、全社的に多くの社員がデータを直接参照する前提でデータ基盤を考える必要がある」との認識を示しました。

こうした環境変化を踏まえ、山本さんはAI活用において企業が直面する3つの壁として「データの準備・管理の複雑性」「データ品質への不信」「技術とビジネスの分断」を指摘。「AIで何ができるかというHowの部分が先行しがちだが、それはビジネスの本質につながっているのかを考えなければいけない」とした上で、「これらの壁を越えるにはデータ基盤の整備が不可欠であり、データ基盤整備が企業競争力の源泉となる時代」との展望を示しました。

続けて企業がAIを活用する際の原理原則として、AIが社内外の情報やコンテキストデータを正しく参照できることの重要性を説明。「ChatGPTと壁打ちするだけでも価値はある」と断った上で「社内データをAIが正しく参照できることで、自社にカスタマイズされた真を突いた答えが得られる」とし、「AI-Readyな企業になるには、AIとのインターフェースを整え、運用を回していく必要がある」との考えを示しました。

「CONNECT 100+」で接続サービス倍増、オンプレ対応やCOMETAのAI化も──primeNumberの1年間の成果

こうした課題に向けてprimeNumberが取り組んできたプロダクト開発の成果として、4つの主要なリリースが紹介されました。

1つ目はクラウドETL「TROCCO」の接続サービスを大幅に拡張するプロジェクト「CONNECT 100+」で、企業の基幹業務や特定業界の領域を中心に接続サービスを大幅拡張したと説明。「これまで5〜6年で約100コネクタから、約1年で倍増しました」と成果を報告しました。

データ収集のコネクタだけでなく、整えたデータを外部サービスに返すリバースETLやデータアクティベーション領域の転送先コネクタも拡充。さらに、転送先コネクタについてはカスタマイズ可能な汎用コネクタ「転送先Connector Builder」の開発もまもなくリリース予定であることが明かされました。

 

2つ目は、オンプレミス環境やプライベートネットワーク内でデータを外に出さずに転送できる「Self-Hosted Runner」。昨年開催した「01」でコンセプトを発表したのちにリリースされ、すでにお客様に利用いただきフィードバックを得ています。

3つ目は「Change Data Capture(CDC)」機能。ソースシステムへの負荷を抑えるため、データベースの変更ログを読みながら変更差分だけを効率的にディスティネーションに送る機能を大幅にリニューアルしました。転送先の一部ではIceberg形式というオープンテーブルフォーマットに対応、データレイクハウスのようなモダンなアーキテクチャにも対応できるようケイパビリティを広げています。

4つ目は「COMETA AI」のリリース。山本さんは「昨年時点ではデータカタログとして提供していたCOMETAに、この1年でAI機能を搭載しました」と説明。COMETAに蓄積されたメタデータを参照しながらAIが正しいデータ分析を行える体験の提供に加え、メタデータ自体もAIで効率的に作成できるようにし、「AI前提のデータウェアハウス活用という新たな体験を提供するサービスに生まれ変わりました」と、大きなハイライトとして紹介しました。

データマートとワークフロー、2つのコア機能を強化──primeNumberの2026年ロードマップ

セッションの後半では、この先1年間で注力する3つのキーワードが示されました。

1つ目は「Transform & Orchestration(変換と統合管理)の強化」。

山本さんはデータ活用の流れを「Ingestion(収集)」「Transform(変換)」「Activation(活用)」の3つと、これらを統合管理する「Orchestration」で説明。「TROCCOでは、入口と出口はコネクタ、データを整える部分はデータマート機能、一連のジョブ管理はワークフロー機能が対応している」と整理した上で、「コネクタと並んで重要なコア機能であるデータマートとワークフローをより強化していく」との方針を示しました。

Transformの強化では、「AIが解釈しやすいデータマートをいかに整えられるかが重要」と指摘。「メタデータをきれいにすることも大切だがが、その前にデータ自体がきれいでないと意味がない。AIが参照するデータをしっかり整えることにフォーカスする」と語りました。

具体的な機能として、インクリメンタルモデル(増分更新)を画面上で簡易的に選択できる機能、データ品質を定義できる画面の強化、dbt連携機能のさらなる強化などの開発が予定されています。

Orchestrationの強化については、「対応できるタスクの汎用性を拡張していく」と説明。「AIを活用する際、構造化データだけでなく非構造化データを扱う要求が強まっており、様々なデータソースや外部ファンクションとの連携を強化し、データパイプライン管理からもう一段領域を広げた全体のオーケストレーションを目指します」との方向性が示されました。

「データエンジニアを監視業務から解放する」──DataOpsで実現する自動検知・自動修復

2つ目のキーワードは「Data Observability / DataOps」。

山本さんはAI-Readyなデータ基盤に必要な要素として「品質の高いデータが継続的に更新される」「メタデータ(データの意味)が整理されている」「ガバナンス(誰が責任を持つか)が確立している」の3つを提示。この中で「メタデータも重要だが、その前段の『品質の高いデータがあり、それがメンテナンスされて鮮度も保たれている』状態を保つことにフォーカスしたい」との考えを示しました。

その考えの経緯として山本さんは「データ利用者が増えるとデータ品質が課題になる。少数のデータエンジニアリングチームで運用していれば問題にもすぐ気づけるが、利用者が増えるとそうはいかない。社内であっても一定の品質のデータを提供し続ける必要がある」と指摘。この対策として、データの鮮度、中身、スキーマなどを見える化し、異変にすぐ気づける仕組みの提供を挙げました。

具体的には「パイプラインの安定稼働」「データ鮮度の保証」「ソースデータ変更への自動対応」「迅速なトラブルシューティングと自動修復」の4つの要素を実現することで、「データ利用者が安心してデータを使える。このデータは元データが正しいのか、という余計なことを考えなくて済む」と、primeNumberの目指す世界を語りました。

さらに、「データエンジニアを監視業務から解放したい」との思いを表明。「異常検知をルールベースだけでなく統計的差分からAIが自動検知し、簡単なエラーであれば人手を介さず自動修復する。こうしたデータ基盤におけるDevOps、すなわちDataOpsの実現に注力します」と説明しました。

3つ目に挙げられたのは「COMETA AIのさらなる進化」。

山本さんは「COMETAは『AIを通じて人とデータをつなぎ、誰もがデータを活用する未来』を実現するためのプロダクト」と位置づけを説明。「現在、価値を感じていただいているのは主にデータアナリストやデータエンジニアの方々で、SQLを自分でも書けるが、AIに書いてもらうことで生産性が急激に伸びるという点に価値を感じていただいている」と説明。

一方で今後の方向性として、「向こう半年から1年かけて、SQLに習熟していないビジネスユーザーの方でも安心してAIを使ってデータ探索ができるよう、精度と体験を高めていく」との方向性を示しました。

具体的には業務部門の方がアナリストチームに依頼してチケット解決を待つワークフローではなく、営業担当であれば売上データを自然言語で分析し、マーケターは有望な顧客セグメントやスコアリングを自らの手で探索できる体験を提供。経営層もリアルタイムで事業KPIをチェックでき、会議を待たずにその場で問題を把握できる世界を実現していきます。

「データが当たり前に使われる企業社会」を目指して──TROCCOとCOMETAの進化戦略

まとめとして山本さんは、2つの主力プロダクトの役割を整理。TROCCOについては「データ基盤の土台部分を迅速に作れることに加え、今期のフォーカスとして品質の高い基盤によりコミットする」と、COMETAは「AIを使って正しくデータを探索できる、データの民主化を実現します」と説明。「基盤と活用の両面をカバーしながら、データが当たり前に使われる企業社会を目指す。これはコーポレートとして目指している『あらゆるデータを、ビジネスの力に変える』というビジョンに直結している」と語りました。

最後に山本さんは「これまでやってきたこともこれからやることも、すべてからのフィードバックや対話の中から生まれており、お客さまと一緒にプロダクトを作っていくという意識で長年活動してきた」との思いを披露。「今後もより良いプロダクトを作り、提供できる価値を最大化するために皆様のお力をお借りしたい。我々はより新しい価値やより良い体験を提供することで恩返しをしていきます」と続け、「一緒にこの世界を目指していければと思います」と締めくくりました。

primeNumberではAI時代のデータ基盤構築と活用の両面でプロダクト開発を進めています。データ民主化の実現に興味を持った方はぜひご連絡ください。

herp.careers