
こんにちは、primeNumberです。AIの急速な進化により、エンジニアの働き方や組織のあり方が大きく変わろうとしている今、「どんなチームをつくるべきか」を真剣に考えているリーダーは多いのではないでしょうか。
今回は、プロダクトエンジニアリング本部 VPoE(Vice President of Engineering:技術部門のマネジメント責任者)の山口さんに、AI時代を見据えたエンジニア組織づくりの思想と、これからのエンジニア像についてお話いただきました。

大手Web企業にてエンジニアとして広告システムの開発やHadoopクラスタの構築・運用に従事。その後、1人目のエンジニアとしてデータ事業の立ち上げに参画し、エンジニアリングマネージャー(EM)およびプロダクト推進を担当。現在はprimeNumber VPoEとして、主に組織構築や開発体制の強化、プロジェクト推進などに従事している。
- 成功率が低くても、数を重ねれば成功に近づける
- 試行錯誤を支える2つの開発手法「リーン開発」「アジャイル開発」
- AI時代に向けた「垂直」「水平」方向での組織変化
- 強いチームで大きな価値を作るというスタンスは変わらない
成功率が低くても、数を重ねれば成功に近づける
山口:はじめに紹介したいのが「5〜10%」という数字です。これは新規事業が成功すると言われている確率ですが、見方を変えると、1回では難しくても10回なら約40%、100回挑戦すれば99%以上の確率で成功に近づけます。
プロダクトを作っても、ビジネスが成功しなければ意味がありません。だからこそ弊社のプロダクト組織では、"Try it quickly(素早く試してみる)"という考えのもと、素早くプロダクトを作ってユーザーに価値を提供し、成功や失敗から学ぶことを大切にしています。
そして大きな成功を実現するためには、個人の力だけでなく「チームの力」が重要だと考えています。「早く行くなら一人で行け、遠くに行くならみんなで行け」という言葉の通り、弊社のプロダクト組織はチームとして試行錯誤を繰り返しながら大きな価値を生み出すことを目指して設計しています。マネージャーとしての成功は、自分がいなくても組織が回っている状態。そこまで持っていくことが、私のミッションだと考えています。
試行錯誤を支える2つの開発手法「リーン開発」「アジャイル開発」
山口:素早い試行を実現するために大切にしているのが、「リーン開発」と「アジャイル開発」の2つの手法につながる考え方です。

リーン開発手法はトヨタが発祥とされる考え方で、無駄を省きフロー効率を最大化することを目指す手法です。もう1つのアジャイル開発は、変化の激しい世の中に対応するために、今届けるべき最も価値あるものにフォーカスし続けることです。
具体的な実践例としてご紹介したいのが、primeNumberのクラウドETL「TROCCO」の対応サービスを1年で100件増加させる「CONNECT 100+」プロジェクトでの取り組みです。
100件以上のリリースという高い目標を達成するために、チーム全員でプロセスを洗い出し、どこにボトルネックがあるかを毎週議論しながら改善を継続しました。その成果はコネクタリリース数の推移にも表れており、2024年末には月1件程度だったリリース数が、2025年4月には16件にまで増加しました。
PdM(プロダクトマネージャー)も含めチーム全員でプロセスを可視化し、ボトルネックを見つけて改善を行ったこと、価値をどう届けるかという共通認識を作れたことが大きな要因でした。1つのチームとして同じゴールを共有し、届けるプロセスを一緒に改善し続けたからこそ、大きなアウトプットが実現できました。
AI時代に向けた「垂直」「水平」方向での組織変化
山口:開発の試行錯誤や学びを大切にしながらも、世の中の変化にも目を向けなければなりません。Claude Codeをはじめとする昨今のAI技術の急速な進化により、エンジニアの働き方は根底から変わろうとしています。ChatGPTが登場した2022年11月から、マルチモーダル化、コーディング自動化、そしてマルチエージェントへと、AIを取り巻く変化は月単位で起き続けています。この進化に対応するため、組織を2つの方向で変えようとしています。
1つは「垂直方向の変化(マネジメントの高度化)」です。AIがコードを書く時代になるとエンジニアは「AIマネージャー」へと役割が変化し、AIが生み出す大量のアウトプットをどうビジネス価値に繋げるかという、より上位の視点が求められるようになります。

もう1つは「水平方向の変化(職域の拡大)」です。企画からリリースまでの開発プロセス全体を見たとき、AIの導入により特に実装フェーズにかかる時間が短縮されてきています。その結果、企画や良い実装を出すための設計、品質維持のためのQAといった前後のフェーズがボトルネックになりやすくなります。ソフトウェアエンジニアがプランニングに関わるような動きや、QA担当者が企画の段階からリスク分析や品質向上に向けた提案を行う「シフトレフト」の動きなど、役割の垣根を超えた連携が不可欠になります。どちらも大きな変化であり、すぐに変わることは難しいですが、挑戦を続けています。

強いチームで大きな価値を作るというスタンスは変わらない
山口:AIがいくら進化しても、目指す方向性をチームで共有し、強いチームで大きな価値を作るというスタンスは変わりません。市場や競合などからの変化を受け入れながらも、価値を軸にチームを作ることが重要だと考えています。
すでにデータカタログ製品「COMETA」の開発チームでは、エンジニアが顧客の声を聞いてPRD(Product Requirements Document:プロダクト要求仕様書)を作るなど、PdMとの連携を強化しながら職域を超えた自律的な動きが出始めています。これがまさにprimeNumberの組織としての強みです。
言われた機能を作るだけでなく、自分たちがどうやって価値を届けているのかをチーム全体で自律的に考えることが、生産性やプロダクト開発の面白さに繋がります。効率化はゴールではありません。その先に新しい挑戦があり、技術を学ぶ楽しさがあり、より多くの価値をプロダクトを通じて届けられます。こうしたことを見据えながら組織を作っていきたいと考えています。
ビジネスを成功させるための試行回数へのこだわり、リーン・アジャイルという手法の活用、そしてAI時代を見据えた組織のあり方。山口さんの話からは、エンジニアリング組織を単なる「開発部門」ではなく、変化に対応し、自律的に考え、価値を生み出すチームとして作り上げようとする考えが伝わってきました。山口さん、ありがとうございました。
primeNumberでは、このような「チームでの価値創造」や「AI時代の新しい開発スタイル」に共感し、共に最高のプロダクトを作っていく仲間を募集しています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
※本記事は、primeNumberの全社会議で山口さんが発表された内容をもとに構成しています。