
去る10月23日、目黒のprimeNumberオフィスにてTokyo AI Hackathonのプレイベント「アイデアソン」が実施されました。
Tokyo AI Hackathonとは、Raycast・Anthropic・Vercel・Supabase 各社と、世界初の Raycast ユーザーコミュニティ Raycast Community Japan が共同で企画・運営する、開発者向けAIハッカソンです。Claude AIを活用してRaycastの拡張機能を作成します。
今回のプレイベントは、そんな本番のハッカソンに先駆けて「効率化したい作業を見つけること」をゴールにしたアイデアソンで、Raycast Community Japan が企画・運営しました。
目次
- 制約を考えず大量のアイデアを出すことが大切
- ウォームアップとして最近のイライラを書き出す
- ポジティブなフィードバックと、課題を具体化するためのHMW化
- 他チームのユニークなアイデアに刺激を受けながら、更にアイデアを膨らませる
- 実際にPCの画面を見ながら和気あいあいとアイデアを共有し合う懇親会
制約を考えず大量のアイデアを出すことが大切
イベント冒頭では、アイデアソンのゴールが「効率化したい作業を見つけること」であることを確認しました。そのためには、まず元となるアイデアを量産することが重要です。「コンピュータで実現できるのか」「Raycastで実現できるのか」「私にできるのか」といった制約は今は考えず、とにかくアイデアをたくさん出すことに集中するという前提のもと、イベントはスタートしました。
ウォームアップとして最近のイライラを書き出す

最初の3分間はウォームアップとして「課題書き出し」を実施。30秒で「最近イライラしたこと」「繰り返している作業」を5案考えます。業務中でも日常生活でも良く、「なぜ世界は平和にならないのか」といった壮大なものから「今日の昼食の唐揚げが熱かった」といった些細なことまで、どんなイライラでもOKとのこと。付箋1枚につき1つのアイデアを書いた上で、目の前に貼っていきます。
続く3分間は「課題の静かな書き出し」。自分の目の前にあるアイデアに、さらに10案以上を追加します。とにかく手を止めないことが大切で、「量こそが正義」という方針が徹底されていました。
ポジティブなフィードバックと、課題を具体化するためのHMW化
アイデアを自身でたくさん出した後は、「共有」フェーズに移ります。グループ内で各自30秒で1案を紹介し「いいですね!」「私には思いつかなかった!」「確かに!」といった前向きな反応を返し合います。追加で思いついたことは付箋に書き足していくスタイルで、ポジティブなフィードバックを通じてどんどんアイデアが広がっていきます。その後、各自3票で好みの課題に投票し、上位3案を選出しました。
そして5分間の「HMW化」。HMWとは「How Might We」の略で、デザイン思考でよく使われる問題定義の手法だそうです。選出された3つの課題を「どうすれば私たちは〇〇を〇〇できるか?」という形式に変換することで、解決すべき課題がぐっと明確になります。HMW化した課題を見ながら、「この体験のここが課題だよね」といった風に、体験を交えつつより課題を具体化していくことで、さらにアイデアを膨らませます。
他チームのユニークなアイデアに刺激を受けながら、更にアイデアを膨らませる
他チーム向けに自分たちのチームの流れを30秒で発表します。「このようなアイデアが出て、HMWは〇〇です」という形式で、各グループの成果を全体に共有する時間です。

各グループからは「typoをなくしたい」「出勤時の勤怠ボタンを何回も押していて大変」といった日頃の業務に役立ちそうな課題から、「スマホをふとした瞬間見てしまうのをやめたい」「ご飯が面倒で、自然と抵抗なく食べられるようにしたい」といった日常生活に紐づいたユニークなアイデアも発表されました。
他チームの発表を聞いてアイデアの種を見つけた後は、さらなる「課題追加」フェーズに移ります。各自30秒で5案を追加し、チーム内で共有しながらさらにアイデアを膨らませていきます。ここでは「解決方法が混ざっても良い」とされ、「この体験のここが課題」「ここをこうすれば良いかも」といった形で、より具体的な議論へと深まりました。
最後は運営メンバーからの「今日発散させたアイデアを、ハッカソン当日までに収束させていくことが大事」「前回のハッカソンでは何をしたら良いかわからず困った人がいたので今回のプレイベントを企画した。今日のアイデアを当日に生かして欲しい」というコメントで、アイデアソンを締めくくりました。
実際にPCの画面を見ながら和気あいあいとアイデアを共有し合う懇親会
アイデアソン終了後、20時45分から懇親会がスタート。参加者はビールスポンサーとして転職ドラフトさんから提供いただいたビールを片手に、他の参加者や運営メンバーと交流を深めました。

懇親会の最中、実際にPCを開きながらお互いにアイデアを共有するといったシーンも見られ、和気あいあいとした雰囲気の中、イベントは幕を閉じました。

今回のイベントの特徴は、徹底した「発散思考」の重視でした。技術的制約や実現可能性は一切考えず、とにかく大量のアイデアを出すことに集中する。そして、HMW手法を用いて課題を構造化し、他チームとの共有を通じてさらにアイデアを拡張していく。45分間という短時間でしたが、参加者からは多くの気づきが生まれたことが会場の雰囲気から伝わってきました。
改めて、Tokyo AI Hackathonのテーマは「Claude AIを活用した、Raycastの拡張機能作成」です。Raycastという強力なデスクトップツールに、AnthropicのClaude AIを組み合わせ、さらにVercelやSupabaseといったモダンな開発ツールを活用することで、日々の繰り返し作業を劇的に効率化する拡張機能が生まれる可能性があります。今回のイベントで生まれた数々のアイデアが、Tokyo AI Hackathon本番でどんな形で実装されるのか、楽しみですね。
プレイベントに参加された皆さま、ありがとうございました。本番のイベントも頑張りましょう!