
こんにちは、primeNumberです。
prime numberは素数という意味。「素数の素顔」は、素数のようなメンバーのこれまでのキャリアや入社経緯などについて聞きながら、人となりを深掘りしていく企画です。
今回はニュージーランド出身で元プロゲーマーという経歴を持ち、現在はグローバルチームでソリューションアーキテクトとして活躍するBrett Torenvlied(ブレット・トレンブリード)さんにお話を伺いました。
日本の「Dota 2」大会で3年連続優勝を果たしたプロゲーマー時代から、データエンジニアリング知識ゼロの状態でprimeNumberに入社し、現在は海外顧客のデータ課題解決に取り組んでいるBrettさん。どういう経緯でこうしたキャリアチェンジを果たしたのか? primeNumberで最も共感している価値観とは? Brettさんの仕事への想いを聞きました。
慶應への留学、日本での起業を経てゲームの世界へ――多彩なキャリア遍歴
――これまでのキャリアについて教えてください。
大学はオークランド大学で、経済学と文学を専攻していました。文学では日本語を、経済学ではエコノミクスを学び、1年間の留学で慶應義塾大学に通いました。
卒業後はBMWグループジャパンでインターンシップを始めました。エンジニア本部で「テクノロジースカウト」という職種を担当し、BMWの車両に活用できる可能性のある日本の先進技術を探す業務を任されていました。展示会や大学の研究室、技術開発企業を訪問して情報を収集し、レポートを作成してドイツ本社に送っていました。
7ヶ月間その業務を続けたんですが、ちょうどその頃に円安がすごく進行していたんです。日本とニュージーランドの中古車価格に大きな差があることに着目し、ビジネスチャンスがあるなと思って貿易業を始めました。
――具体的にはどのような事業をしていたんですか?
簡単に言うと、日本のオートオークション(車のオークション)で毎週数千台の車の中から目当ての車両を点検・購入、必要な書類手続きを行ってニュージーランドに輸送し、販売するという事業でした。並行してECサイトを作り、ニュージーランドの大学生向けに日本語教科書の販売も行っていました。
――そしてプロゲーマーにも転身されたんですね?
もともと空いた時間にはゲームをプレイしていたのですが、「Dota 2」ではプレイヤーランキングの上位に入るようになりました。それで「プロになれるかも」と思ったんです。ちょうどその頃、日本の有名プロゲーミングチーム DeToNator が選手を募集していたので、応募してチームに入りました。
その後、自分のチームを結成し、日本のトップチームとして活動していました。約3年間にわたり国内の主要大会で優勝を重ね、日本代表として海外の大会にも出場しました。また、Dota 2 の開発元であるValve社が制作したドキュメンタリーにも出演したことがあります。
――どうしてプロゲーマーから会社員へ転向したんですか?
2019年に第一子が誕生し父親になったことで、より安定したキャリアを築く必要があると感じたからです。会社員になるか、ニュージーランドに戻って医学部に入学し医師を目指すかを検討していたんですが、ちょうどそのタイミングで慶應大学時代の友人に誘われてprimeNumberに入社することになりました。
データエンジニアリングの知識ゼロから、ソリューションアーキテクトへ
――primeNumberではどのような仕事をしていますか?
現在はグローバルチームでソリューションアーキテクトを 担当してます。自社プロダクトである「TROCCO」の説明を行いつつ、お客様のアーキテクチャにどのようにTROCCOを組み込むか、お客様の課題をどう解決するかといった提案を行っています。
最近はTROCCO以外の提案も増えていて、たとえばソフトウェア開発系の案件でもお客様の要望をヒアリングした上で「このシステムを構築すれば課題を解決できますよ」といったアーキテクチャ提案を行っています。
――Business Developmentの業務も担当されているんですよね。
はい。韓国では、マーケティング、イベント、展示会の準備、ビデオ制作、コンテンツ作成、マーケティングメールの作成、リード管理などを行っていました。また、韓国のDatabricksやSnowflakeといったパートナー企業との連携も担当していました。
――入社当初の役割とはかなり変わっているのではないかと思います。
もともとはテクニカルライターとして入社し、当時はTROCCOの英語版が全くない状況だったので、サービスやドキュメントの英語化を担当していました。ただの翻訳作業ではなくてローカライゼーション作業やi18n(国際化)対応作業なども必要で、そのためにコードを学ぶ必要もありました。
英語対応が一段落したタイミングでCS(カスタマーサクセス)本部に異動して海外でプリセールスを行うようになり、その後現在のソリューションアーキテクトを担当するようになりました。
――ソリューションアーキテクトはより技術的な知見が求められると思うのですが、もともとそういった知見をお持ちだったんですか?
特にデータ関連の知識は持っていませんでした。過去に自分のECサイトやウェブページを作った経験はありましたが、プロレベルではありませんでしたし、primeNumberに入社した時点ではデータについて全く知りませんでした。
そのため毎日時間を確保してデータエンジニアリングについて学び始めました。チュートリアルや本、業界のポッドキャストを通じて学習を続け、現在はデータエンジニアリングには詳しくなったと自負しています。
データエンジニアリングの学習には、ゲームに取り組む時と同じような姿勢で臨みました。キャラクターをレベルアップさせるように、一つずつスキルを習得したりする感覚で学びを進め、知識が増えるにつれてより大きく複雑な課題にも挑戦できるようになりました。
――学習のモチベーションはどこから来ていたのでしょうか?
データエンジニアリングは専門用語も多く、勉強していないと翻訳業務も適切に行えなかったんです。また、知識が十分でない状態では重要な打ち合わせで相手の言うことを完全に理解できず、自分の発言が正確かどうか不安になり、「自分は場違いなのでは」という感覚に陥ることもありました。そのような状況が嫌で、学習を続ける大きなモチベーションになりました。
成長の鍵は「価値を返さなければならない」という危機感
――8 Elementsで一番共感するものを教えてください。
「課題を起点に」という点に一番共感していますね。グローバルのお客様から「TROCCOについて教えてください」と相談されることはほとんどなく、必ず最初に直面している課題があって、その上でTROCCOがどの部分にフィットするのかを一緒に議論していますから。
――他にも共感する要素はありますか?
「価値を返す」という要素にも共感しています。自分がどの程度価値を返しているかを常に考えて、価値を返せないことを減らしていきたいと思っています。
――どうしてそう考えるようになったのでしょうか?
primeNumberのグローバル事業は新しく立ち上がったばかりで、小規模なチームで運営されています。そのため一人ひとりの影響力が非常に大きく、事業の成長は自分たちの行動に直結しているんです。だからこそ常に「どうやって価値を届けるか」を考える原動力になっています。
――最後に、primeNumberでのグローバル化についてはどのようにお考えですか?
primeNumberに入社した当初は外国籍のメンバーは自分ひとりで、業務もすべて日本語で進められていたため、言語理解は必須でした。ですがその後、会社は徐々にグローバル化し、現在では英語で業務を行うチームも複数存在しています。英語しか話せないメンバーでも活躍できるようになったのは、とても良い変化だと思います。
日本は人口減少という課題を抱えており、今後優秀な人材の採用はますます難しくなると感じています。だからこそ、このアプローチには大きな意味があると思いますし、実際に同様の取り組みを進めている日本企業も増えてきていると感じます。会社とともに今後も成長していけるよう取り組んでいきたいです。
――ありがとうございました!
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