二人の鈴木健太が語るCTOの仕事とAIネイティブ時代のエンジニアリング(素数ラジオから)

こんにちは、primeNumberです。

primeNumberのポッドキャスト「素数ラジオ」のnote版、今回はCARTA HOLDINGSでCTOを務める鈴木健太さんをゲストに迎えた回です。

対談したのは奇しくも同姓同名で役職も同じCTOであるprimeNumberの鈴木健太。2人の鈴木健太が前後編にわたってAI時代におけるCTOの役割やエンジニアリングについて語りました。

このnoteではポッドキャスト前後編のサマリーをお届けします。本編ではより充実した内容をお話しているので、ぜひポッドキャストも合わせてお楽しみください。

https://listen.style/p/primenumber/vo1z0vpt

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CTOになるまでの道のり

――まずはお二人の自己紹介をお願いします。

鈴木健太(CARTA) CARTA HOLDINGS CTOの鈴木健太です。2012年に新卒として入社して、2022年から全社のCTOとして技術組織全体やAIの推進を担当しています。大学時代は人工知能の研究、セマンティックウェブの領域を研究していました。

鈴木健太(pN): primeNumberでCTOをしている鈴木健太です。2017年入社なので、もう8年目になります。入った時は数人の会社でしたが、今は100名を超えています。初めてプログラミングをやったのは小学校3、4年生の頃で、PC-9801で3Dメールアプリを作ろうとして挫折したのが最初の体験でした(笑)。

鈴木健太(pN):CARTAの鈴木健太さん、エンジニアになったきっかけは何だったんですか?

鈴木健太(CARTA): 本格的なきっかけは、アルバイトで事務の仕事をした時にExcelが無数にあって、それをVBAで自動化できることを知ったんです。職場の方々にすごく喜んでもらって、「これは意外と役に立つな」と思ったのが始まりでした。

鈴木健太(pN): 自分は大学時代にTwitterと連携するサービスを作って、それがすごいバズった時があって、Googleのアドセンスの広告が1日3万円ぐらいいって、「Webめちゃくちゃ楽しい」と思ったのがきっかけです。3万円は本当1日だけで終わったんですけどね(笑)。

AIが変えたCTOとしての働き方

――今やっていることについて教えてください。

鈴木健太(CARTA): CARTAは事業が20個近くあって、多種多様な領域をやっています。最近は仕事の時間の半分ぐらいはAI関連のことをやっていて、リサーチ、実際に組んでみること、みんなに伝えることを中心にやっています。

鈴木健太(pN): 直近だとAIにかける時間がめちゃくちゃ長くなっています。もともとCTOってあんまりコードを書く仕事ではなかったんですが、AIをどう適用するかを理解するためには自分でコードを書かないと全然わからないので、直近3ヶ月とか本当にひたすら自分でコードを書いたりしていました。

今月8月から新しくVPoEの方にお任せすることになったので、自分は中長期のこととか、一番レバレッジが効く仕事を考えながらやっている感じですね。

AIネイティブ化への取り組み

――AIは具体的にどのような取り組みをしているのですか?

鈴木健太(pN): 今年6月からプロダクト開発のAIネイティブ化を宣言してやり始めました。最初に「AIネイティブのレベル表」を作ったんです。自動運転のレベル表みたいに段階を定義して、レベル4では「AIが自律的に開発して、エンジニアはそれをレビューするのが中心」「コードの80%以上はAIが書く」という状態を目指しています。

各チームからAIチャンピオンを立ててもらって、みんなで一緒にレベル4を目指していこうという形で進めています。

鈴木健太(CARTA): CARTAでは、AIツールはマーケットにリリースされたタイミングで社内にどんどん入れています。社内にジェネレイティブAIラボという組織を作って、知識を集約し、社内に共有できる枠組みを作っています。

AIコーディングの進化がもたらした変化

鈴木健太(pN): Claude Code MAXが出たあたりから、こんなにAI使いまくって試せるんだみたいなところでマインドが変わってきましたね。

鈴木健太(CARTA): AIは本当に使い放題で人が変わるっていうのはまさにその通りで、コストを気にせずトライできるようになったことが多くのエンジニアのコードパターンを変えました。特に自律性が大きくて、指示すればタスクをお願いすればやってくれる、タスク分解までやってくれるのが大きくパラダイムを変えました。

鈴木健太(pN): コストが出ると失敗しないようにしようって意識が高まっちゃって、AIって不確実なのに予算を考えなくちゃいけないのがボトルネックになってたんですが、それがClaude Code MAXによってガラッと変わりました。

鈴木健太(CARTA): コードを捨てるということがすごくやりやすくなって、設計の方針転換がやりやすくなったのは大きな進歩です。使い捨てで使うっていう人が結構増えてきました。概念の検証だけできれば良いから、比較するのに十分なコードを書いてくれればAIでも十分です。

CTOとして組織を動かすのが重要で面白い

鈴木健太(pN): 最近VPoEの方に開発組織を任せることができたのは大きなやりがいでした。CTOとして組織を動かす、みんなが前に向ける環境を作っていくことは重要な仕事の一つです。

鈴木健太(CARTA): CTOの仕事って一人ではできないことをやらなきゃいけなくて、それは色んなメンバーと協調して動いていくことなんですが、一人ではできないことをやれるようにするのが一番面白い部分です。

加えて、メンバーが成長することが重要なポイントです。技術力評価会という制度を10年以上やっていて、メンバーの仕事の段階が変わったなと感じる瞬間はすごく嬉しいし楽しいですね。

これからの時代に活躍するエンジニア像

――AI時代に活躍するエンジニア像を教えてください。

鈴木健太(pN): エンジニアがコードとかアーキテクチャー設計によって到達する山の高さは変わってないんです。8合目ぐらいまでAIが楽にいけるようになったけど、残りの2合は自分で上がっていかなくちゃいけない。求められるレベル感は全然変わらないままです。なので結局新しい技術を学ぶという、エンジニアリングで求められたところはまったく変わらない状態になり続けるんだろうなと思っています。

鈴木健太(CARTA): エンジニアとしてはすごく学びやすくなったと思います。特に新卒のエンジニアでは、高速道路どころか一人一人飛行機で飛んで最短距離で行っているような人が出やすくなっています。

学習のスピードがめちゃくちゃ上がってて、本の内容の抽象的な話と自分の会社の具体的なところをマッピングするのがAIはすごく得意ですね。

鈴木健太(CARTA): 結果的に仕事はどんどん増えて、密度が上がって、すごい強度が求められるようになっています。競合もみんな早くなってるので、仕事密度が上がって大変になっています。

鈴木健太(pN): すごい単純な部分はもうAIで書けるようになっちゃってるので、本当に難しい部分しか仕事をやらないみたいな感じで圧縮されています。楽にはなってないけど楽しくはなってるかもしれません。

鈴木健太(CARTA): やっぱり人間に残されたのは一番難しくて複雑なことをやるという役割ですね。


名前も役職も同じというきっかけから始まった対談ですが、CTOとしての役割の変化、AI時代のエンジニアリングの在り方、そして組織としてAIを活用していく重要性など、非常に充実した内容となりました。お二人の鈴木健太さん、ありがとうございました。

対談の内容を詳しく聴きたい方はぜひポッドキャストでお楽しみください。

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